キヌアの脂質・繊維などに関してまとめてみた

キヌアは脂質、繊維質、ミネラルやビタミンともに良質なものを豊富に含んでいる。キヌアの澱粉粒は非常に小さい。キヌアは豊富なレシピだけでなく新たな可能性を秘めた食材である。

キヌアの脂質・繊維など

脂質

キヌアの脂質含量は他の穀物に比較して高い。脂肪酸は必須脂肪酸が55%以上を占める。キヌア油は酸化されやすい不飽和脂肪酸が多いのに安定しているのは、天然の抗酸化剤であるビタミンEの含量が高いことによる。

またキヌアから抽出できる植物油のhaあたりの収量(80-400kg)はトウモロコシから得られる収量(20-50kg)に勝るという計算値が示されている。新しい油糧作物としての可能性がある。

キヌアの脂質の主たるものは中性脂肪。脂質中の脂肪酸としては、オリーブ油の主成分のオレイン酸24.5%および人体で生合成できないことから必須脂肪酸の一つに数えられるリノール酸52.3%が主要成分のひとつになっている。

おもにリノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸が大部分を占めている。PS比(多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸)は4.9であり、この値は食用油脂の中でも高く(大豆油3.92、コーン油4.65、オリーブオイル0.65)、非常に優れた脂質である。脂質含量は6%前後で、コメや小麦よりも高い。脂肪酸組成は大豆油と類似しており、リノール酸とリノレン酸を主体とする不飽和脂肪酸が多い。

炭水化物(糖質)

キヌアの主成分は糖質であり、糖質のほとんどはデンプンである。キヌアデンプンは小麦や米などの植物デンプンに比較して高い湿潤性を持つとともに、低い糊化温度(57-64℃)を持つ。アミロース含量も6-10%と低いので強い粘性を示す。

これらのデンプンの性質はキヌアに食品素材としての加工、調理特性を与えると共に、デンプン粒の小さいことと合わせ、食用だけでなく、製紙工業、化粧品用、ポリマー混合用など一般工業への利用も期待できる。

キヌアの炭水化物には、粗繊維と食物繊維が豊富に含まれている。キヌアの澱粉粒はほかの植物起源の澱粉粒と比べ非常に小さい(直径1-1.25μm)。キヌア澱粉粒はサイズが小さいので、単位重量当たりの表面積が大きい。従って酵素による分解率が高く、糖化後例えばアルコール発酵飲料などへの利用が期待される。

キヌアの炭水化物のほとんどはデンプン(約60%)であり、リング状の胚に取り囲まれた外胚乳組織に分布する。デンプン粒は非常に小さいので、紙工業、化粧品、他の高分子工業の原料として開発が期待される。

繊維質

繊維量は2%と、他の穀物に比べて高く、蕎麦の2倍、白米や小麦粉の7~10倍含まれており、食物繊維としても他の穀物の1.12倍(蕎麦)~6倍(白米)となっている。

ミネラルとビタミン

カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄の含量は米、小麦、大麦の3-10倍。ビタミンも、E、B1、B2、ナイアシンが他の穀物に比べて多い。

高ミネラル食品として期待されるキノアであるが、ミネラルの吸収率、利用率に関する研究例はほとんどなく、Znの利用率が低いことが報告されているにすぎない。

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