キヌアはホウレン草などと同じ植物で擬穀物とよばれ、穀類ではない。胚芽はたんぱく質、脂質、食物繊維などの栄養バランスに優れている。キヌアは様々なレシピで調理できる最高の食材。
キヌアの植物学的性質
キヌアはホウレン草やテンサイと同じアカザ目・アカザ科・アカザ属(ヒユ科アカザ亜科)の一年草の植物で、草丈は1-2mになり、多くの太い茎に枝分かれする。擬穀物と呼ばれ、イネなどの穀類ではない。よって正確には雑穀ではないが、一般的には雑穀と総称されている。葉は長さ4-8cm、幅は2-5cmの菱状から卵形で食用にされる。茎径は約10-15mm。植物体の先端に花穂を付け、密に枝分かれして果実が実る。
種子は花被、果皮、外胚乳、胚からなる。花被は擦ると簡単に除去できる。種子は直径約2mm、厚さは0.5mmの扁平な円形をしている。種子の色は白色から黄、赤、褐、黒色と様々であるが、果皮を除き、精白すると白―黄色である。精白粒は中央部に外胚乳、その周りを胚が取り囲んでいる。結実は約4~6ヵ月である。
各区分について
精米機は玄殻から果皮の除去に効果的であり、精麦機は脱穀粒からの胚芽と外胚乳の分画に効果的であることを見出した。
胚芽は粗タンパク質、粗脂質、粗繊維、食物繊維の含量の高い栄養バランスの優れた組織であった。特に胚芽の粗タンパク質量はダイズに匹敵した。胚芽は高タンパク質食品などへの応用開発が期待できる。
キヌア玄殻にはサポニンが974mg/100g含まれている。果皮中の総サポニン含量は8234mg/100gであり、玄殻の約8.5倍多く含まれていた。また、苦みの主成分であるサポニンを効率的に玄殻から除去できることが示された。
種子の様子
種子の模式図を示す。
①Grain(back):穀果(背面)
②Grain(surface):穀果(表面)
③Decalyxed grain(back):
④Decalyxed grain(surface):
⑤Seed(surface):種子(表面)
⑥Seed(side):種子(横)
⑦Dehulled seed:脱穀した種子
⑧Dehulled seed(cross section):断面図
種子の構造
種子の中央部にデンプン質に富む外胚乳組織があり、その周りをリング状の胚組織が取り巻いている。