紀元前5000年のインカ帝国で栽培されていたことがあり、スペイン人によって根絶やしにされたものの、現代になってその有用性が見直され、欧米では注目されている。レシピなどで応用の効く便利な食材。
古代インカ帝国時代
古くインカ帝国の人々の間で主食として利用されていた。ペルーのチチカカ湖周辺原産の植物で、紀元前5000年には栽培化されていたという記録がある。古代インカ帝国皇帝が栽培を推奨し、収穫物すべてが皇帝のもとに集められ、その後分配され、インカ帝国では重要な作物であった。キヌアは古くはインカ帝国の人々で主食として広く供され、「母なる穀物」として利用されていた。ボリビアなどに残るインカの遺跡にはキヌア貯蔵のための倉庫も散見されている。
スペイン征服時代
今から約500年前にインカの地がスペインに征服される以前はアンデス山系の北端から南端まで(コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン)広く栽培されていたが、征服後はほとんど栽培されなくなった。今から500年ほど前にインカの地はスペインによって植民地となり、キヌアは小麦に追われるばかりでなく、敵性の食物とされて主食としてはおろか栽培も一時途絶えてしまった。
現代
近年穀物としての特色が見直され、ペルー、ボリビアなどのアンデス山系での栽培が広がると共に、アメリカ、ヨーロッパ各国で食品としてのキヌアに対する関心が高まり、日本を含めて、栽培、利用、食品評価に関する研究が展開されてきた。
1970年代には、アメリカ科学アカデミーがアマランスやキヌアを将来有望な経済作物としてとりあげ、栽培・開発を奨励。
1993年と1996年には、アメリカ航空宇宙局(NASA)が、キヌアの食品特性に注目して、宇宙空間の長期間作業(CELSS=Controlled Ecological Life Support System)において、環境管理と食糧供給に適した作物候補としてキヌアについて検討し、発表している。そのタンパク質含量の多さ、取扱いの簡易さ、使途の広さ、管理環境での収量率の高さからExcellentと評価している。
2004年9月、日本のTBS系列「スパスパ人間学!」にて取り上げられる。
近年再発見の形で見直され、栄養価の高さばかりでなく、栄養バランスのよさ、さらに換金性のある穀物の一つとして、ボリビアやペルー政府、またEUの後押しや欧米の健康指向とともに栽培が拡大してきている。