キヌアは人類の宝です。
大事に栽培し、丁寧に育て、慎重に普及していくべきものです。スーパーフード、流行りのダイエット食といった評価で消費をあおられるものではありません。
国産キヌアがどのように生産されているかを網羅的にまとめてみました。興味のある方はぜひ、トライしてみてください。
キヌアができるまで
全体の流れは以下の通りです。
- 種選別
- 整地
- 種まき
- 発芽
- 雑草とり
- 風防
- 収穫
- 乾燥
- 脱穀
- 精製
- 精白
- 選別
- 発泡*商品に依る
- 粉末化*商品に依る
- 袋詰
- 出荷
本記事では、この一連の流れについてひとつひとつ紹介していきます。
種選別
国内での栽培に適したキヌア種子の入手は容易ではありません。
原産地が、遠い外国で3,000mを超える高地であるため、また世界的な栽培奨励の歴史が浅いためです。
詳しくは「栽培用のキヌア種子を入手するのは難しい」にまとめました。
整地
日本のキヌア生産地、山梨県上野原市は、耕作放棄地解消をも意図してキヌア栽培を奨励しています。
耕作放棄地の状況によりトラクターや耕運機によって整地して栽培環境を整えます。
種まき
汎用の種まき機を使います。種を設定して転がすだけで種まきと覆土が自動でなされる機械です。
ひとつの穴につき5粒程度を10cm間隔程度でまく方法でしていますが、環境や栽培方針により、この限りではありません。
発芽
種まきから、降雨などの条件が良ければ3日程度で発芽します。
発芽までには水分を必要としますが、発芽以降の給水は特に必要としません。
雑草とり
上野原市のキヌア生産法人は有機栽培をしています。煩雑ですが、雑草とりは非常に重要な作業行程です。
キヌアは虫に非常に好まれるため、虫とりも重要です。結実するまでの1〜2ヶ月は雑草と虫の除去に追われます。
風防
キヌアは環境によって1〜2mほどまで生育します。結実すると穂先が重くなり、強風や大雨により倒伏の危険性が高まります。
倒伏を防ぐために紐などで周囲を囲い補強します。
収穫
穂が赤色づいてきたら収穫します。おおよそ、4月にまいて7月、8月にまいて11月に収穫できます。
稲用の汎用バインダーが使えることもあります。結束しておきます。
乾燥
結束したキヌアをはざかけして天日乾燥します。おおよそ1〜2週間程度かかります。
脱穀
他の雑穀と同様、脱穀を行います。葉や枝などの不要物を取り除きます。
米や雑穀に使う汎用機械を流用できますが、キヌアの種は非常に小さいため、高品質なキヌアを作り出す工程を確立するまでには時間がかかります。
作物本体から種子を切り離すために、米や雑穀に使う機械を流用するか、乾燥物をビニールシートに拡げて木槌などで叩きます。
*参考:dc091927
精製
2段階のフルイをかけます。網目2mm以下と網目0.7mm。
箕か唐箕をかけます。
精白
種子を覆う外皮を取り除きます。汎用精米機が活用できます。
フィルターは米より細かいものを使用します。
選別
商品化に最も重要な工程であり精度が求められるポイントです。
精米機でも取り除けなかった小さな石、不良種子、殻などを目視しピンセットで取り除きます。選別を経たものは粒として販売します。
発泡*商品に依る
キヌアはそのままでは食べられないため、商品価値向上を目的に加工機械を導入しています。
高圧の蒸気で熱することでキヌアが弾け、調理せずともそのまま食べられる製品となります。ポップキヌアという商品名で販売しています。
粉末化*商品に依る
発泡したものだけでなく、粉にした製品も作成しています。
発泡したキヌアを粉末化し、キヌアのポップパウダーという名前で商品化しています。きな粉に似た非常に香ばしい粉末で、パン生地に混ぜ焼くと、表面がカリッとしたキヌアの風味たっぷりに美味しく焼きあがります。
袋詰
パッキングします。
出荷
ようやく、製品として出荷できるようになりました。
以上です。
製品化には、栽培だけでなく様々な行程が含まれることが伝わったでしょうか。決して、生産がたやすいアイテムではありません。それなりの初期投資も必要です。
それでも、類まれな栄養バランスと機能性、そして多様な地域での生育可能性を持つ奇跡の雑穀として、その価値は地球の未来を担うほどと言っても過言ではないです。
興味のある方はぜひトライしてみてください。「本格栽培」などで情報交換しましょう。