近年日本でも観光客を中心によく知られるようになってきたボリビアの「ウユニ湖」は、多種あるキヌアの中でも品質の高い「キヌア・レアル」の産地としても重要な地域なのです。
今回は、『BIOSTORY』というムック本に掲載された記事を参考に、キヌアレアルの特徴に少し迫ってみます。
ウユニ湖って何?
ボリビアにある世界最大の塩湖です。雨期になると湖面が鏡張りになり天国のような景観を生み出すことから観光スポットとして人気があります。詳しくはGIGAZINEの「まるで天国のようなウユニの「鏡張り」に魂が震えた」に写真付きで詳しくまとまっています。
塩湖という言葉は聞き慣れないかもしれません。Wikipediaによると、陸に閉ざされた湖(内陸湖)の塩分(主成分は塩化ナトリウム)やその他塩類の濃度が通常の淡水湖よりも高くなった湖、のことだそうです。ウユニ湖の写真を見ると真っ白で、土地が塩によって形成されていることが伺い知れます。
キヌアの故郷を訪ねて
記事の著者日高さんは2013年2月20日、国際キヌア年式典に参加したあと、ボリビア南西部にあるウユニに向かいました。標高約3,700mと森林限界を超えたこの高原一帯でキヌアが栽培されているとは想像もつかないであろう、と前置きしつつ以下のように述べています。
<実は、ウユニ塩湖周辺はボリビアを代表する「キヌア・レアル」の一大生産地でもあるのだ。キヌアの中でも大粒で、輸出向けとしても商品価値が高い。日本に輸入されているボリビア産のキヌアは全てこのレアル種である。>
キヌアは生態型に応じて5つの品種群に分けられるという。
- 渓谷型
- 高地型
- 塩地型
- 海岸型
- 亜熱帯型
キヌアレアルはこの塩地型の品種群のことだという。キヌアレアルは世界中で最も需要がある種であり、ほかのキヌアに比べてたんぱく質、サポニンを多く含有し、粒の色は明るく大きいという特徴があります。また塩濃度の高い地域で育つことから、各種ミネラル分も多く含むことが想起されます。
キヌアレアルを正しく入手するには
以前書いた記事で、ボリビアでのキヌア生産の約半分がペルーへ密輸、という衝撃の事実について触れました。そして品質の高いキヌアレアルは産地が限定されていることを考えると、「ペルー産のキヌアレアル」というものはちょっと信用に欠けるかなと感じます。
もちろんペルー国内でもキヌアは栽培されていますし、キヌアレアルももしかしたら栽培されているかもしれません。けれど遠く海外の、それも口に入れる食品の話、できるだけトレーサビリティがしっかりした安全なものを入手したいところです。
粒が大きいために調理しやすいのがキヌアレアル。正しく入手するにはまず、ボリビア産である、ということをひとつのチェックポイントとしたいですね。
キヌアが新たな観光資源として
著者はこう締めくくっています。
<実は今、これら(ウユニ湖)の自然環境と共にキヌアも貴重な観光資源の1つとして認識し、地域住民の生活向上にもつながるアグリツーリズムを促進する取り組みが始まりつつある。
観光客は農家の庭先でキヌア料理を堪能し、農作業を手伝ったりしながら数千年以上の歴史を持つキヌアの栽培文化に思いを馳せる…。国際キヌア年を契機に、ウユニのもう1つの魅力が広く知られるようになれば素晴らしいことである。>
記事では美しい写真とともに地域の情景も分かりやすく伝えてくれており、ぜひとも現地へ行ってキヌア栽培の様子をこの目で見てみたいと思いました。みなさんも、天国の景色を目で見るだけでなく、今を生きる現地の人たちの生活を心で感じてみたいと思いませんか?