国産キヌア栽培に向けて注意すべきポイント6つ

国産キヌアは現状では流通していず、国内で目にするキヌアは全てペルーやボリビアなどが原産地となっています。それでも複数の研究者が長い年月にわたって国産キヌア生産に向けて尽力してきました。今回はある論文をもとにその可能性と残された注意点についてまとめます。

quinua.jpでも何度も資料を紹介している日本大学生物資源科学部の准教授磯部勝孝先生の論文「我が国でキノアを栽培するにあたって」(2010年8月)がその論文です。

キヌア

国産キヌアってほんとに出来るの?

以前紹介した山梨の事例「貴重な一歩!国産キヌア栽培へ挑んだ山梨の軌跡」やその他の取り組みが始まってから数年経過するのに未だ国産キヌアをスーパーで見ることはできませんね。国産キヌアは幻想で、成功するテーマではないのではないか?そんな疑念が浮かびます。

それでも、2010年の時点で10年間もキヌア研究に資してきた日本大学の磯部先生はこう述べています。

研究を進めキノアの生態特性が徐々に明らかになってくると、我が国でも北海道から九州までのほぼ全国でキノアの栽培が可能で、しかも諸外国と比べても遜色ない子実収量をあげることもできることが明らかになった。

国産キヌアは地産地消や生産地の一極集中回避などの観点から日本のキヌア消費にとって望ましいテーマではあり、このような見地は期待が膨らむものです。しかし、流通に乗るほどの安定供給を実現するためにはその栽培に関していくつか超えなければならないポイントがあるそうです。

国産キヌア栽培6つの注意点

  • は種時期
  • 肥料
  • 栽植密度
  • 害虫と雑草の防除
  • 機械化
  • 日本の環境にあった優良品種の育成

教授は続けて以上の6つを注意点と課題として挙げています。

は種時期については、夏にまくのか春にまくのかという問題について、その品種がどちらに適しているのかを把握する必要があるということでした。対象の品種の現地の高地由来なのか低地由来なのかによって育成状況も変わってくるためその特性に合ったは種時期を選択する必要があるそうです。

肥料については、荒れ地で育つと言われるキヌアにも他の作物と同程度の肥料が必要であることが分かってきたそうです。

当研究室で行った実験によると窒素肥料の場合、窒素成分で10a当たり10kg程度までなら施肥量が多くなるほどキノアの子実収量が多くなった。

しかしあまり与えすぎると成長しすぎて倒伏の危険性が高まるので注意が必要だそうです。

栽植密度については、1平方メートル当たり200個体以上の条件で栽培したほうが多くの子実収量を得られるそう。

キヌアの害虫と雑草については以下のように述べています。

キノアを圃場で栽培すると意外にキノアに寄ってくる虫が多いことに気がつく。そして、その多くがキノアの生育を阻害したり、品質を低下させたりする。この現象は生育の初期から収穫期に至るまで広く生育期全般に渡っている。

また機械化については、脱穀機や収穫機について専用のものか既存のものの改良が求められるという。

また日本国内生産にあった品種の特性としては、背丈が低く倒伏被害を防げる優良品種の育成が必要だという。また耐暑性も重要で、現地の高地で育つキヌアは耐寒性はあるものの暑さには弱いという特性があり、日本の夏を耐えられる特性が望まれるとのことでした。

キヌア

どうなる?国産キヌア

論文は以下の文章で締めくくられています。

キノアは栄養特性の面から利用されることが多かったように感じるが、キノアが食材として我が国に定着するにはわが国の食生活の中に溶け込む必要もあるのではないか。

特別な健康食材としてだけでなく、通常の食生活に自然に入り込むほどの需要があって始めて、生産地側のインセンティブも高まって上に挙げたような課題の解決もスムーズに進むのではないかと思います。受給両者の活性化が必要で、そのためにはキヌアそのものの存在感がより増していくことが望まれます。

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